ぼくの飼っている猫のピートは、冬になるときまって夏への扉を探しはじめる。家にあるいくつものドアのどれかひとつが、夏に通じていると固く信じているのだ。1970年12月3日、かくいうぼくも、夏への扉を探していた。最愛の恋人に裏切られ、生命から二番目に大切な発明までだましとられたぼくの心は、12月の空同様に凍てついていたのだ。そんな時、「冷凍睡眠保険」のネオンサインにひきよせられて…永遠の名作。
1957年に書かれたロバート・A・ハインラインのSF小説「夏への扉」を読みました。
舞台は1970年のロサンゼルス。この小説が書かれたのが1957年ですから、当時としては近未来の設定ですね。
読む前のイメージ
アマゾンでの評価も高く以前から気になっていた小説でしたが、SFというジャンルであることもあり、あまりSF小説を読まない(そもそもSFの定義がよくわかってなかった)私は「ほしい物リスト」に入れたままずっと保留にしていたのですが、いよいよ読みたい本のストックが枯渇してきたため、仕方なく読み始めました。
読む前はごくわずかな断片的な情報をもとに、主人公と猫のピートが「夏への扉」(どこでもドア的なもの)で次元を超えて、異世界を冒険するファンタジーだと勝手に思い込んでいました。当然ながらいつまで経ってもファンタジックなことが起きず、「これ、いつになったら夏への扉を開けるんだよ…」とボヤきながら読んでいました。
思ってたんとちがう
さらに読み進めていくうちに、どうやら自分が想像していたものと違うぞと気づきました。
序盤は特にアクシデント的なものも起きないので、正直読むのが辛くなってきました。主人公のダンが強制的に冷凍睡眠(コールドスリープ)と呼ばれる方法で30年後の未来へ未来へタイムトラベルさせられるあたりから、話は動き出しだんだん面白くなってきます。
なんといっても、仲間の奸計によりどん底まで落ちたダンの、その後の逆転劇が爽快でかつ愉快でおおいに溜飲を下げました。それと単なるSFではなくタイムトラベルを絡めたミステリー要素もあり、伏線をキッチリ回収していくのも非常に心地よい。自分が勝手にイメージしていたファンタジーではなくて、すばらしいSFミステリーだったのです。
読んで損はなし!
序盤のだるい展開は苦痛でしたが、SFミステリーということがわかってからは、最後まで一気に読み切ることができました。
かなり昔の作品でしたが、王道のストーリーなので今読んでも普通に面白いですし、いまでもそんなに違和感なく読めると思います。
まだ読んだことがない人はぜひ読んでみてください。