筒井康隆の富豪刑事を読んだ感想

      2016/12/28

キャデラックを乗り廻し、最高のハバナの葉巻をくゆらせた“富豪刑事"こと神戸大助が、迷宮入り寸前の五億円強奪事件を、密室殺人事件を、誘拐事件を……次々と解決してゆく。金を湯水のように使って。靴底をすり減らして聞き込みに歩く“刑事もの"の常識を逆転し、この世で万能の金の魔力を巧みに使ったさまざまなトリックを構成。SFの鬼才がまったく新しいミステリーに挑戦する。

1978年に単行本化された連作短編小説です。

読みやすい文章で短編で全4作なので、遅読の私でもあっという間に読み終わりました。2005年に深田恭子主演で(原作とは性別が異なります)ドラマ化もされています。

 

全4作短編の富豪刑事

富豪刑事の囮

4人まで絞り込んだ五億円強奪事件の容疑者に囮として接触して、金の力で犯人をあぶり出す富豪刑事。

 

密室の富豪刑事

金の力で密室殺人のトリックを暴き、犯人を追い詰める富豪刑事。

 

富豪刑事のスティング

金の力での不可解な誘拐事件を解決する富豪刑事。

 

ホテルの富豪刑事

暴力団同士の争いを食い止めるため金の力を使う富豪刑事。思わぬ事件が発生するも金の力を使わずに推理力のみで事件を解決する富豪刑事。

 

推理小説風のナンセンスコメディ

ジャンル的には推理小説を謳ってはいますが、主人公の刑事が大富豪という時点でふざけてますし(否定的な意味ではありません)、推理小説として読むとまったくの期待外れに終わります。

あくまでも私のように面白ければなんでもよいという人向けのエンタメ小説です。

4つの短編のうち推理小説っぽいのは「密室の富豪刑事」ぐらいです。その密室トリックもわりと雑というかすぐわかってしまうほど安易なもので、推理小説としては全く物足りないレベルです。2年半で4話という執筆ペース(遅っ)からも、筒井康隆は推理小説があまり得意ではないことが伺えます。

登場人物が突然読者のほうへ向きを変えてしゃべりだしたりなどメタ発言があったり、毎回事件が解決するたびにどこからともなく署長が躍り出てきたりとコント色が強く、推理そっちのけで読者を笑わせにきます。私は特に署長の登場シーンが好きで、3回目以降は登場前から笑いがこみ上げてきていました。

 

個性的なキャラが勢揃い

前述の署長もそうですが、個性的なキャラが数多く登場します。作中で著者が何度もしつこく語っているのですが、各キャラにスポットを当てれば小説が1本書けるぐらいのバックボーンがあるらしいです。

その中で主人公の神戸大助は富豪の刑事という個性があるものの、金銭感覚がズレていることを除けば、金持ちにありがちな嫌味たらしい発言もなくどちらかというと控えめな性格で、常識人でもあり正義感も強くなかなかの好青年で好感が持てました。

 

ドラマもおもしろい?

「ドラマより原作のほうが面白い」というのはよくある話です。私もどちらかというと原作厨なので原作をひいき目に見てしまいますので、原作が面白かったからといってドラマに興味を抱くことはほどんどありませんが、この富豪刑事はWikipediaを見る限り、原作よりむしろドラマのほうが面白そうだなと感じてめずらしくドラマに興味が沸きました。

ドラマの「富豪刑事」は当時その存在は知っていたものの、そのときはあまり興味が沸かず結局観ませんでした。

ちなみにドラマのほうは2005年に「富豪刑事」と2006年に「富豪刑事 デラックス」として2期放送されておりますが、平均視聴率は1期が12.42%、2期が12.04%と微妙な感じです。

 

ドラマを観るには?

今からドラマを観るためにはDVDをレンタルもしくは購入するか、あるいは動画配信サービスを利用するという方法があります。

私はスマホかタブレットで観たいのでDVDで観るという選択肢は除外しました。現在、「富豪刑事」を観れる動画配信サービスはHuluのみです。TSUTAYAは動画配信見放題の対象外でした。

2期の「富豪刑事デラックス」に限りYouTubeでも1話324円で視聴可能です。

Amazonプライムビデオで観られるとよかったのですが、残念ながら富豪刑事のタイトルはありせんでした。

 

さっそくHuluの無料トライアルに登録して視聴してみることに。

Huluトライアル

結局観たのは第1話「富豪刑事の囮」のみ。視聴後Huluの登録は解除しました。

原作との設定の違いや登場人物の演じ方を確認できたので満足しております。

深田恭子(当時22歳)が役にハマってて、とてもかわいかった。

総評

ドラマは1話だけしか観ませんでしたが、小説のほうは短編で読みやすくナンセンスな笑いがクセになる小説で気に入りました。著者の苦手な分野のためか残念ながら続編はありません。せっかく個性的なキャラが揃っているのですから、シリーズものとして続けてほしかったです。

短時間で読めるエンタメ小説。空き時間にでもどうぞ。

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