なつかしのアニメ『ガンバの冒険』の原作「冒険者たち-ガンバと15ひきの仲間」を読んだ感想

      2016/12/28

ドブネズミのガンバは、幼馴染みのマンプクに誘われて海を見る旅に出る。2匹は港で船乗りネズミの集まりに参加するが、そこへ全身に傷を負ったネズミが現れる。忠太と名乗ったそのネズミは「夢見が島でイタチのノロイ一族に襲われた仲間を助けてほしい」と訴える。

ノロイとは、船乗りネズミの間では関わることをタブーとされる恐るべきイタチであった。及び腰になる船乗りネズミたちの姿を見たガンバは、自分だけでも忠太の願いを聞き入れることを決意し、忠太と共に夢見が島行きの船に乗り込む。しかし、ガンバに心を動かされたネズミたちもまた、夢見が島へ向かう決意をしていたのだった。ガンバと15匹の仲間の冒険が、今始まる……。

初版は1972年。1975年にテレビアニメが放映されて、昨年2015年には3DCGアニメの映画が公開されました。

テレビアニメが放映されたのは私が生まれる前のことでしたのでリアルタイムでは見ていませんでしたが、ちいさいころに再放送を見ていた記憶があります。よって私にとってガンバはテレビアニメのずんぐりむっくりした、ドブネズミというよりどちらかというとハムスターみたいなかわいいガンバのイメージでした。

昨年、映画館で3DCGアニメの映画「GAMBA ガンバと仲間たち」の予告をみて、ひさびさにガンバの存在を思い出しました。

映画のガンバは私の中のガンバのイメージとは程遠く、なつかしさを感じられなかったためかまったく興味をひかれることはありませんでした。案の定、妙に人間っぽいデザインが不評だったらしく映画は不発に終わったようですが、映画が酷かった分、原作や昔のテレビアニメが見直されることとなり、私も映画の予告を見たことをきっかけに原作に対する興味が沸きました。

Amazonのカスタマーレビューをのぞいてみると軒並み高評価。私のように昔見たアニメを懐かしんで読まれた方が多く、みなさん熱く語られています(笑)。

 

原作本の挿絵を見てショックを受ける

さっそく読み始めたものの、挿絵を見てビックリ。ガンバならびにほかの仲間たちもビジュアルがアニメのガンバとは全く違う”リアルドブネズミ”に近いものでした。ああ、大不評だった映画のデザインは原作に寄せたものだったのかと納得。ガンバ=テレビアニメのかわいいキャラのイメージを持っていたから映画のデザインは受け付けなかったのかもしれませんが、原作の挿絵しか知らなければ印象が違っていたかもしれないと思いました。テレビアニメを知らない原作ファンがどうとらえていたかが気になるところではあります。

あくまでも個人的感想ですが、映画のキャラデザが原作に寄せてあるのはわかりましたが、それでもやっぱりコレジャナイ感はかわらないと思います。原作の挿絵のほうはリスっぽくてかわいいけど、映画のほうはネズミより人間に近いビジュアルのせいかなんか不気味なんですよね。なぜそうなってしまったのかが謎。

 

実はシリーズ2作目

本書は実は冒険者シリーズの2作目で、1作目はシマリスのグリックが主役の物語でガンバはあくまで脇役でした。

1作目でガンバが脇役にもかかわらず人気が出すぎて、読者から「ガンバを主役にした続編を書いてほしい」という要望が殺到したらしく、本書のガンバのスピンオフが正式なシリーズ続編となったようです。(本書あとがきより)

 

みどころ

イタチのなかでも特に恐れられているノロイに蹂躙されている仲間を救うべく立ち上がるわけですが、天敵であるイタチとの力の差は絶望的なもので、まともに戦えばたちまち返り討ちにされてしまいます。なんとかしてイタチの監視の目をかいくぐり、生き残った仲間のもとにたどり着かなくてはなりません。しかし、奮闘も虚しくイタチのボスであるノロイの統率力と知略の前に絶体絶命のピンチを迎えるガンバたち。はたしてガンバたちは無事に仲間を救出できるのか?宿敵ノロイと対峙したガンバの運命やいかに。

絶望的な状況下でいかにして活路を見出すのか。ガンバを信じてついてきた仲間と協力して、知恵と勇気を振りしぼり圧倒的な強さを誇る敵に抗う姿はとても感動的で王道の冒険譚としての安定したおもしろさがあります。

あと、テレビアニメのガンバを見ていた方はアニメとどう違うのか?というところももみどころのひとつだと思います。

 

ノロイの恐ろしさ

ちなみに原作のノロイはテレビアニメの怪物のような姿のノロイと違い、見た目に恐ろしさを感じることはありません。ガンバたちとは体格差がありますので、絶対的なパワーはもちろんあるのですが、むしろ何を考えているかわからない不気味さという内面的な怖さのほうが際立っています。

私はこの原作を読んで、圧倒的なパワーの持ち主であることと丁寧な言葉使いからドラゴンボールのフリーザを、知能が高く人心を思いのままにあやつることから浦沢直樹の「MONSTER(モンスター)」に出てくるヨハンを連想しました。

 

総評

40年以上前に出版された子ども向けのお話ということもあり、ミステリー要素があるわけでもなく、主人公が覚醒することもない素朴な冒険物語ですが、普遍的な面白さがあり大人でも十分楽しめる作品だと思います。

私は大人になってから読みましたが、小学生のときに本書に出会っていれば、死ぬほど苦手で苦痛でしかなかった読書感想文もスラスラ書けたかもしれません。

自分の子どもにも読ませたい作品であるとともに、往年のテレビアニメのガンバファンにもぜひ一度手にとってほしい作品であります。おすすめです。

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