なつかしのアニメ『ガンバの冒険』の原作「冒険者たち-ガンバと15ひきの仲間」を読んだ感想

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冒険者たち ガンバと15ひきの仲間 (岩波少年文庫044)

ドブネズミのガンバは、幼馴染みのマンプクに誘われて海を見る旅に出る。2匹は港で船乗りネズミの集まりに参加するが、そこへ全身に傷を負ったネズミが現れる。忠太と名乗ったそのネズミは「夢見が島でイタチのノロイ一族に襲われた仲間を助けてほしい」と訴える。 ノロイとは、船乗りネズミの間では関わることをタブーとされる恐るべきイタチであった。及び腰になる船乗りネズミたちの姿を見たガンバは、自分だけでも忠太の願いを聞き入れることを決意し、忠太と共に夢見が島行きの船に乗り込む。しかし、ガンバに心を動かされたネズミたちもまた、夢見が島へ向かう決意をしていたのだった。ガンバと15匹の仲間の冒険が、今始まる……。

初版は1972年。1975年にテレビアニメが放映されて、昨年2015年には3DCGアニメの映画が公開されました。

テレビアニメが放映されたのはわたしが生まれる前のことでしたのでリアルタイムでは見ていませんでしたが、ちいさいころに再放送を見ていた記憶があります。よって私にとってガンバはテレビアニメのずんぐりむっくりした、ドブネズミというよりどちらかというとハムスターみたいなかわいいガンバのイメージでした。

昨年、映画館で3DCGアニメの映画「GAMBA ガンバと仲間たち」の予告をみて、ひさびさにガンバの存在を思い出しました。

映画のガンバは私の中のガンバのイメージとは程遠く、なつかしさを感じられなかったためかまったく興味をひかれることはありませんでした。案の定、妙に人間っぽいデザインが不評だったらしく映画は不発に終わったようですが、映画が酷かった分、原作や昔のテレビアニメが見直されることとなり、私も映画の予告を見たことをきっかけに原作に対する興味が沸きました。

Amazonのカスタマーレビューをのぞいてみると軒並み高評価。私のように昔見たアニメを懐かしんで読まれた方が多く、みなさん熱く語られています(笑)。

原作本の挿絵を見てショックを受ける

さっそく読み始めたものの、挿絵を見てビックリ。ガンバならびにほかの仲間たちもビジュアルがアニメのガンバとは全く違う”リアルドブネズミ”に近いものでした。大不評だった映画のデザインはもしかしたら原作に寄せたものだったのかもしれません。ガンバ=テレビアニメのかわいいキャラのイメージを持っていたから映画のデザインは受け付けなかったのかもしれませんが、原作の挿絵しか知らなければ印象が違っていたかもしれないと思いました。テレビアニメを知らない原作ファンがどうとらえていたかが気になるところではあります。

本書は実はシリーズ2作目

本書は実は冒険者シリーズの2作目で、1作目はシマリスのグリックが主役の物語でガンバはあくまで脇役でした。

1作目でガンバが脇役にもかかわらず人気が出すぎて、読者から「ガンバを主役にした続編を書いてほしい」という要望が殺到したらしく、本書のガンバのスピンオフが正式なシリーズ続編となったようです。(本書あとがきより)

王道の冒険譚

イタチのなかでも特に恐れられているノロイに蹂躙されている仲間を救うべく立ち上がるわけですが、天敵であるイタチとの力の差は絶望的なもので、まともに戦えばたちまち返り討ちにされてしまいます。なんとかしてイタチの監視の目をかいくぐり、生き残った仲間のもとにたどり着かなくてはなりません。しかし、奮闘も虚しくイタチのボスであるノロイの統率力と知略の前に絶体絶命のピンチを迎えるガンバたち。はたしてガンバたちは無事に仲間を救出できるのか?宿敵ノロイと対峙したガンバの運命やいかに。

絶望的な状況下でいかにして活路を見出すのか。ガンバを信じてついてきた仲間と協力して、知恵と勇気を振りしぼり圧倒的な強さを誇る敵に抗う姿はとても感動的で王道の冒険譚としての安定したおもしろさがあります。

あと、テレビアニメのガンバを見ていた人はアニメと対比して読めるのもひとつの楽しみです。

ノロイのイメージがアニメとは少しちがう

ノロイはテレビアニメの怪物のような姿とはヴィジュアルが異なり、ふつうのイタチの姿をしています。もちろんガンバたちとは体格差がありますので、絶対的なパワーはガンバたちを圧倒しています。その圧倒的なパワーと見た目の美しさや丁寧な言葉遣いとのギャップが、どことなくドラゴンボールのフリーザを連想させるためか、非常に不気味な印象を持ちました。

読書感想文の題材におすすめ

40年以上前に出版された子ども向けのお話ということもあり、非常に素朴な王道の冒険物語ですが、それゆえに普遍的な面白さがありますので、大人でも十分楽しめる作品だと思います。

読みやすくてわかりやすいストーリーなので、読書感想文が書きやすそうな作品だと思いました。小学生のときに本書に出会っていれば、苦手だった読書感想文もスラスラ書けたかもしれない。

もちろん往年のテレビアニメのガンバファンにもぜひ一度手にとってほしい作品であります。おすすめです。