【本格ミステリー】有栖川有栖の学生アリスシリーズ2作目「孤島パズル」を読んだ感想

      2016/12/28

紅一点会員のマリアが提供した“余りに推理研的な”夏休み―旅費稼ぎのバイトに憂き身をやつし、江神部長以下三名、宝捜しパズルに挑むべく赴いた南海の孤島。バカンスに集う男女、わけありの三年前、連絡船の再来は五日後。第一夜は平穏裏に更けるが、折しも嵐の第二夜、漠とした不安感は唐突に痛ましい現実へと形を変える。晨星落々、青空に陽光が戻っても心は晴れない…。

1989年に発表された本書は「学生アリスシリーズ」の2作目となる正統派の本格ミステリーです。作中で得たヒントから論理的思考を積み重ねて理詰めで犯人を特定するという推理を楽しめる作品となっております。

著者がエラリー・クイーン好きとあって、犯人を特定するのに必要な情報が出そろった終盤で”読者への挑戦”が挟まれたりします。

2016年5月には有栖川有栖が書いた小説の中で初めて英訳され、「The Moai Island Puzzle」(モアイ島パズル)というタイトルでリリースされたようです。

Kindle版もありました。

 

学生アリスシリーズの概要

京都の大学生であるアリス(男)をワトスン役、推理小説研究会の江神部長を探偵役としてクローズドサークルにおける連続殺人事件を解決していくシリーズ。

同シリーズはこれまで長編4作まで発表されており次作で完結予定のようですが、現時点で5作目の発表時期は明らかになっておりません。3作目の双頭の悪魔(1992年)から4作目の女王国の城(2007年)まで15年かかっておりますので、気長に待つ必要がありそうです。

したがって完結していない作品を避けておられる方はご注意ください。私もシリーズものの小説や漫画などで完結していないものは可能な限り読まないようにしてるのですが、この学生アリスシリーズを読み始めたころは完結していないことを知りませんでした。1作目が20年以上前のものでしたので当然完結していると思い込んでいましたので、4作目を読み終えた時点でシリーズが完結していないことを知り、しかも次作がいつ読めるかもわからないということがわかり悶絶しました。

  1. 月光ゲーム
  2. 孤島パズル
  3. 双頭の悪魔
  4. 女王国の城

未完のまま終わるという最悪のパターンだけは避けてほしいところです。

 

ヒロインのマリアの登場によりラブコメが楽しい

前作の月光ゲームのときには出てこなかった推理小説研究会の紅一点であり赤毛の美少女マリアが初登場。本作以降の正ヒロインを務めます。

マリアの登場によってアリスとのラブコメという新たなお楽しみ要素が追加されることになりました。本格ミステリーでありながら青春小説的な一面も持ち合わせており、青春小説好き、ラブコメ好きの方も楽しめる内容となっております。

個人的には殺人事件の真相よりも、ふたりの関係性のほうに興味を惹かれるくらい気に入っております。本書ではまだ互いに異性として意識するまではいかないレベルなのですが、真夜中の海でデートというなかなかロマンチックなシチュエーションも用意されており、今後の展開に胸がふくらみニヤニヤがとまりません。若いってイイですね!

 

総評

私の好きなラブコメ要素が秀逸で、推理そっちのけでアリスとマリアの関係に釘づけになってしまい、個人的にはそれだけでこのシリーズを読み進める理由ができたわけですが、肝心のといいますか本流の推理に関しても期待を裏切らないものになっております。あっとおどろくトリックが用意されているわけではないものの、ひたすら論理的思考を求められる正統派のミステリーに仕上がっており非常に読み応えのある作品です。

本格ミステリ好きはもちろんラブコメ好きの方にもおすすめの一冊となっております。

 

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